第1章 My destiny
姉:「天、身も蓋も無いことを言うんじゃありません」
楽:「サラが一生懸命、知恵を絞ってくれたんだぞ」
普段は共同戦線を張り、私へ追い討ちをかけることもある2人。
しかし、今回ばかりは天の一言で見るからに落ち込んだ私を、不憫に思ったようだ。
姉鷺さんと楽が、口々に天を嗜めている。
ただ、その気遣いさえも私には何の助けにもならない。
なぜなら、龍之介が私以上に落ち込んでいるからだ。
『龍之介。これは一旦、忘れましょう。それよりも、貴方はどんなデートをしたいと思いますか?』
気を取り直すように、努めて明るく彼へ声をかける私。
龍:「どんなデートをしたいか…そうだなぁ…」
龍之介はそこで初めて、私へ視線を向ける。
龍:「サラちゃんは、どんなデートをしたいと思う?」
そう言う彼の瞳(め)は、「追及を逃れたい気持ち」を暗に匂わせていた。
(伝家の宝刀「質問返し」‼︎確かに「私に意見を求めろ」って、みんなは言ったけど。ここで使わないでよ、龍之介)
龍之介の意見を聞こうと思っていた私。
彼の唐突な質問返しと、その表情に言い淀んでしまう。
沈黙した私たちの会話を打ち破ったのは、議題を沈没させた張本人、天だった。
天:「もう一層のこと、デートしたら?2人で」
姉:「ナイスアイディアね!」
楽:「グッジョブだ!」
(ここで共同戦線を復活しないで!この人たち、私たちを海の底から引き上げる気が皆無なの⁉︎)
私の心の声は、残念ながら彼らに届かなかった。
当の本人たちを無視して、次のオフに擬似デートをすることが決定し、この日の会議はお開きとなった。