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【R18】アイナナ短編集【TRIGGER】

第1章 My destiny


姉:「それじゃあ、最後に龍。どんなプランを考えて来たか、教えて?」

天と楽の打ち合わせが終わり、龍之介の番になった。
私の予想どおり天のプランはスムーズに決定し、楽のプランは再検討となった。
姉鷺さんから散々ダメ出しをされた楽は、いつもの軽口を叩けないほど落ちこんでいる。

天:「龍が一番、難しそうだよね。考えられた?」

龍:「うん…一応、考えてみたんだけど…具体的にならなくてさ。できれば、みんなの意見を俺は聞きたいかな」

本当に何も浮かばなかったのだろう。
申し訳なさそうな表情で、答える龍之介。
ふと私は、彼の発言に違和感を覚える。
楽と天は、当たり前のように私に意見を求めて来た。
しかし、彼は「みんな」の意見を聞きたいと言っている。
その上、私の勘違いでなければ、この会議が始まってから龍之介は、私と一度も目を合わせようとしない。

姉:「まぁ、みんなの意見も大切だけど。サラちゃんの意見が一番重要よね。サラちゃんが納得しないと、衣装を準備してもらえないわよ?龍」

天:「それは大問題だね、龍」

楽:「そうだぞ、龍。このままだと当日、衣装無しだ。まぁ、お前は裸でも問題ないか」

私の抱いた違和感を、他のメンバーも感じたようだ。
彼らは口々に、私へ意見を求めるように龍之介を誘導している。
先ほどまで打ちのめされていた楽さえも、軽口を叩くまで復活して彼を促している。

龍:「うん…そうなんだけどさ…」

ここまでメンバーが口を揃えて言っても、私に意見を求めようとしない龍之介。
「誰よりもメンバー思いの彼にしては、珍しいな」と、私は思う。
何か相談しづらい理由があると察した私は、助け舟を出した。

『天の言う通り、難しいですよね…私も悩んじゃって。それで、この曲のMVとステージ衣装を作った時の資料を用意してみました。これを見ながら、イメージを膨らませてみませんか?』

姉:「さすがねぇ!」

天:「さすがだね!」

楽:「さすがだな!」

私の提案に龍之介を除いた全員が、感嘆の声を上げる。
これで、暗礁に乗り上げそうになった議題は進みそうだ。
しかし、私が安心したのも束の間の出来事だった。
無情な天の一言で、議題は座礁を通り越して、沈没の一途を辿ることになる。

天:「これさ、半分くらい裸じゃない?」
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