第1章 My destiny
今日は、龍之介との擬似デート当日。
待ち合わせ場所は、横浜のホテルの一室だった。
『都内じゃなくて、横浜。そして、ホテル。正にRiskyな関係そのものね』
私は電車に揺られながら、彼から届いたラビチャを眺めていた。
そして、具体策が浮かばなかったと言っていた龍之介の表情を思い出す。
あれから現場で何度も、会っていた私たち。
しかし、今日のことも、撮影企画についても一切、私たちの会話に上らなかった。
普段通り私は彼の衣装を用意して、彼はそれを着た。
そして龍之介もまた、いつも通り
「今日も素敵な服をありがとう。サラちゃんが居ないと僕たち、やっていけないよ!」
という言葉と共に、とびきりの笑顔を私に向けてくれた。
数日後に擬似デートを控えているなんて、微塵も感じさせないくらい彼は自然に振る舞っていた。
そんな彼を見ていて、私は「あの日の出来事が夢だったのではないか」と、疑ったくらいだ。
しかし昨晩、彼から届いたラビチャが見事にその考えを打ち砕いた。
ちょうどデートに着て行く服を考えていた時に、それは届いた。
「明日の14時。このホテルの1401号室で」
龍之介にしては珍しく、要件のみ伝える短文とホテルのオフィシャルサイトのURLが送られて来たラビチャ。
最初、本当に彼からなのかを私は疑った。
ただ、指定されたホテルが有名なリゾートホテルという点が、「彼から来たんだな」と感じさせていた。
少しだけ迷ったが、私も簡単に返事をした。
そしてホテルステイを楽しむべく、服選びを再開させた。