第1章 My destiny
姉:「楽、わかっていると思うけど。貴方は、ランキングの連覇もかかっているんだからね。下手なプランを練って来たら、容赦しないから」
楽:「うっ…わかっているよ」
楽の不平を言う振りをしたSOSに対して、追い討ちをかける姉鷺さん。
そう言われてしまえばプロ意識の高い楽は、閉口せざるを得ない。
「TRIGGERの敏腕マネージャーは、本当に彼らの乗せ方を心得ているな」と私は思う。
姉:「サラちゃんは、それぞれのプランに合わせた衣装を用意して。それから、デートプランの相談にも乗ってあげてちょうだい!」
『はい、承知しま…って、えぇーーーー!』
いつも通り、スタイリングの依頼だけだと思って油断していた私。
姉鷺さんの言葉にTRIGGERの3人が居ることも憚らず、大声をあげて驚いた。
楽:「サラ、煩い!」
天:「そんなに驚くこと?」
龍:「いや、ビックリしちゃうだろ。サラちゃん、大丈夫?」
数分前の姉鷺さんの気持ちが、よく分かる。
(楽と天は容赦ないけど、龍之介はやっぱり優しい!)
そんなことを思いながら、私は回避ルートが無いものかと思案し始める。
しかし、そんな私の行動はすぐに意味を成さなくなる。
姉:「サラちゃん。貴女は、この姉鷺さまと一蓮托生なんだから。逃がさないわよ」
『うっ…承知しました』
今度は、楽の気持ちがよくわかった。
TRIGGERの敏腕マネージャーは、私の性格もよく把握しているのだ。
楽も天も、姉鷺さんと同様にニヤニヤした表情を私に向けている。
私は無駄な抵抗を諦めて、彼らがどんなプランを練ってくるかを楽しみに待つことにした。
この時の私は、1人だけ違う表情を見せていたことに気づかなかった。
そう…いつも優しい笑顔を浮かべながら緩衝材役を担っている龍之介だけが、複雑な表情で私を見ていたのだ。