第1章 My destiny
―1ヶ月前―
姉:「今回の撮影テーマは、なんと…『秋のデート』よ!」
雑誌撮影が入ったということで、八乙女事務所に集められたTRIGGERの3人と私。
敏腕マネージャーは、少しだけ勿体ぶりながら私たちを見渡して、テーマを発表した。
楽:「今更、そんな定番企画をやるのか?俺たちが」
天:「気合を入れて発表するから、変わった企画かと思ったよ」
龍:「みんな、そんな事を言うなよ。姉鷺さんが持って来てくれる仕事は全部、素晴らしいものだろ」
いつも通り、三者三様の反応をするTRIGGERメンバー。
姉鷺さんも手慣れたもので、軽くため息を吐いてから話を続ける。
姉:「龍、ありがとう!楽、天、あんたたち2人は、いつもそう。この姉鷺さまの戦略も聞きもしないで、ケチをつけるんじゃありません」
楽:「なら、聞かせてみろよ。その戦略ってヤツを」
天:「楽しみだね」
龍:「ほら2人とも、煽らないの。静かに聞いて」
私は恒例行事となりつつあるやり取りを、密かに楽しみながら見ている。
姉:「定番だからこそ、TRIGGERらしさを世間は求めているの!秋といえば、メディアにあふれるのは味覚や行楽の特集ばかり。デートも必然的にそんな場所。世間は、そんな定番に少しだけ飽き始めているわ。そんな時に、この定番を変える引き金になるのが、貴方たち。今回、貴方たちには、来年発売されるLive Blu-ray BOXに特典収録されるソロ曲に合わせた、デートプランを練ってもらうわ!Blu-ray BOXの宣伝も兼ねた撮影よ」
楽:「ソロ曲に合わせたデートプランを練るだと?!」
天:「抱かれたい男1位にとっては、朝飯前でしょ?」
龍:「楽、そんな食ってかかりそうな顔をしないの。天は楽まで、煽らないで」
彼らのイメージソングとも言えるソロ曲。
本来の性格が、パブリックイメージと大なり小なりかけ離れている3人。
案の定、姉鷺さんの提案に難色を示したのは、楽だ。