第1章 My destiny
姉:「謙虚といえば、うちの「謙虚の化身」でもある龍なんだけど」
『龍之介さんが、どうかしたんですか?』
姉鷺さんは、顎に手を当てて何かを探るような表情をしている。
姉:「最近、更に色気が増したと思うのよね。ねぇ、サラちゃんも思わない?」
『え?!そうですか??』
姉鷺さんの一言に驚いて、私の声が無意識に上ずる。
興奮気味に話す姉鷺さん。
私の変化には、気づいていないようだ。
私は彼女に気づかれないように、胸を撫で下ろした。
姉:「そうよ!前は、誰に向けているかも定かじゃ無い視線の送り方だったけど。ここ最近は、特定の誰かを思っている視線の送り方をするようになったの。この姉鷺さんの目は、誤魔化せないんだから!」
『さ、さすが姉鷺さんです…』
落ち着いたのも一瞬の出来事。
姉鷺さんの的確な指摘に、再び、私の内心は穏やかで無くなる。
やっとの思いで姉鷺さんへ返事をしながら、話題の人物へ私はそっと、視線を向けた。
それに気づいたのだろう。
龍之介は私に向けているかのように、下唇にゆっくりと親指を這わせながら目を細めて見せた。
「うん!良いね!!」
姉:「ほら!やっぱり!!」
この時ばかりは姉鷺さんだけでなく、カメラマンからも龍之介を称賛する言葉が漏れた。
私は、姉鷺さんのテンションが更に増したことを幸いに思う。
そして、彼女にバレないように、そっとその場を離れていった。
(あのエロエロビースト‼︎純粋そうな振りして、底知れぬ才能を隠し持っているんだから!!)