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【R18】アイナナ短編集【TRIGGER】

第1章 My destiny


『すっ…凄い!』

指定されたホテルに着いた私は、感嘆の声と共に建物を見上げた。
オシャレな全面ガラス張りの建物は遠くから見ると、中にある物全てが見えそうな雰囲気を漂わせている。
しかし、その実態は全面鏡面張り。
眩い太陽と、近くに聳え立つビル群を見事に映し出していた。
その名の通り、建物全体が中にある全てを覆い隠し、外界と隔絶されたリゾート地を思わせる造りになっているのだ。
徹底した舞台設定に、私は少しだけ気後れしそうになりながら、エレベーターに乗り込んだ。
これまたガラス張りの箱は、ホテルの最上階に位置する待ち合わせ場所へゆっくりと、しかし確実に近づいて行く。
エレベーターに表示された階数が上がるごとに、私の鼓動も早くなっていった。
「擬似」とはいえ、デートをする事が久しぶりの私。
しかも、相手はあのTRIGGERの十龍之介だ。
八乙女社長に、「TRIGGERで無ければセンターを張れる」と言わしめる人物。
顔良し、スタイル良し、声良し、ダンスも歌も上手くて、極め付けは「優しい」。
世の女性が恋人に求める全てを兼ね備えた人物と、私はデートするのだ。
緊張しない方が難しいと私は思う。
今更ながら、私は後悔する。
「天の提案に最後まで徹底抗戦すれば良かった」と。
そんな私の気持ちに関係なく、目的地に着いたことを知らせるベルの音が、無情にも鳴り響いた。
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