満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第4章 愛に似た《煉獄杏寿郎》
「先生っ!…煉獄先生!」
ゆさゆさと身体を揺すられ、重い瞼をゆっくり開ける。
チカチカと眩しい。周りは騒がしい。
あぁ、そうか。宇髄たちと忘年会で居酒屋に行って、それで。
「…あぁ。君か」
大学生になった沢田波奈が、心配するように俺の顔を覗き込んだ。
「先生呑みすぎですよ!大丈夫ですか?お水飲んでください!」
「あー。うむ」
むくりと起き上がって沢田から水を受け取った。
冷たい水が、酔って火照った体を冷やしていく。
「あれ?みんなは…」
「帰っちゃいましたよぅ」
「ははっ 君と俺を置いてか。非情だなあ」
「いえあの…。後はお前がなんとかよろしくって言われたんですけど」
「…そうか」
顔が赤く上気している沢田の顔を見て、ふ、と笑ってしまう。
「宇髄の、君の『もったいくらいの彼氏』の話しはしつこかったなあ。だんだん君の困っている姿は見ていて面白かったぞ」
「れ、煉獄先生、そこは助けてくださいよー」
「…もう俺は君の先生じゃないだろう?」
波奈の瞳をとらえ、じっと見つめると、彼女はいっそう顔を赤くさせた。
「…っう、そうでした…。杏寿郎さん…」
ピコンと携帯の着信音が鳴る。
「よもや。バレてしまっていた」
と杏寿郎は言い、スマホの画面を波奈のほうへ向けた。
『後ほど詳しく話せェー』
『ま、俺はとっくに気づいてたけど』
『お幸せに♩』
グループのメール画面はハートのスタンプやら、
不死川の怒ってる様子や、大変賑やかになっている。
それを見てまた波奈が顔を赤くさせていた。