• テキストサイズ

満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】

第42章 Chocolate play ※《宇髄天元》


高校1年生のときに宇髄と出会って、また恋をした。「また」、というのは前世でも恋をしていたということで。前世では伝えられなかった恋心だったのですぐに好きだと伝えたかった。今世では後悔のないように。
でもやっぱり今世もわたしは変わらずに、伝える勇気はなかった。
宇髄さんは先生だから、わたしは生徒だから。
宇髄さんは大人だから、わたしは子どもだから。
そんな言い訳をして、結局バレンタインは義理すらも渡せなかった。

高校二年生では美術係になぜか任命され、放課後はたまに宇髄先生と2人で美術室で過ごした。
でも会話は業務連絡のみで、宇髄先生は黙って絵を描いていた。
距離は近づくことなく、結局バレンタインはまた義理すらも渡せなかった。

高校三年生ではまた美術係で、相変わらず進展は全くなかった。
放課後に美術室で宇髄から頼まれてファイルの整理をしていたところ、女子生徒が部屋に来た。
どうやらバレンタインの日にチョコを持ってきたらしい。
宇髄はそんな女生徒に、「義理なら受け取ってやるからそこへ入れとけ」と言い放った。
指差したのはダンボールで、既にそこには大量の色とりどりの可愛い贈り物が積み上がっていた。
適当に淡々と受け流すように積み上がる彼への贈り物。
あぁ、きっとこの人はわかっていないんだ。
確かにこの贈り物の中には義理でイベントを楽しんでポイっと放り投げた物もあるけど、
中にはきっと本命の、本気の気持ちが込められた贈り物だってきっとあるはずなのに。

その日、宇髄からの命令で段ボールいっぱいのチョコを仕分けしていたら、
「お前からのはねーの?」と言われた。
楽しげに、揶揄うように。
「…ないですよ」と笑って答えた。
本当は鞄に入っているけど、どうしてもあのダンボールの中のひとつにはなりたくなかった。
我ながら頑固で素直じゃなくて笑える。
勇気の出ないまま、高校生活のバレンタインは終わりを告げた。

/ 818ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp