満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第39章 Trick but Treat※《宇髄天元》
◇
キッチンで大量の洗い物と格闘していると、宇髄さんがお風呂から出てきた。何度も片付けを手伝うと言ってくれたが、今日は誕生日ですし本当にいいです!と断った。それにわたし、メイドですし?
宇髄さんがミネラルウォーターを冷蔵庫から出して、波奈も飲む?と背後から聞こえた。
「ーーー!な、っ、ふくっ…!ふくきてくださいよ!」
振り向くと下着のみ身に付けた宇髄さんがペットボトルを差し出している。
「おっまえな、何回も見てるだろ」
宇髄さんが呆れているが、波奈は目を背ける。
鍛え上げられた身体は、かっこよくて直視できない。
頬に熱が集まるのを必死に抑える。
「なあに意識してんだ」
「し、してない!」
くつくつと揶揄うように笑う宇髄さん。
意識してる。めっちゃしてる。
してないほうがおかしい。
だって今日は宇髄さんの誕生日だよ。
そんなの絶対抱かれるに決まってる。
「ご飯もケーキも美味かった。ありがとう」
「…うん」
そのまま後ろから抱きしめられた。
力強い抱擁で、またドッドッと心臓が騒がしい。
「ーーーひゃ、っ、うずいさん??」
「な、このまま寝室行っていい」
「うっ…、こ、この、まま?」
メイド服のまま?
「このまま。だめか」
いきなりに横抱きにされて、いわゆるお姫様抱っこをされて、そう色っぽく言われた。キュウンと身体が締め付けられるような恥ずかしい気持ちになる。
こくんと小さくうなずくと、宇髄さんはほっとしたような顔をした。
寝室のドアを難なく開けて、大きなベッドへ、まるで大切な宝物を置くようにそっとおろしてくれた。