満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第39章 Trick but Treat※《宇髄天元》
「…そんなに見られるとやりにくいんですけど。
ってか動画撮ってます?!」
「おー、ド派手に良いの撮れたわ」
ばっかじゃないの!
一体わたしのメイド服姿の、どこがいいんだか。
顔だって身体だって飛び抜けて良いところは無いし、いつも女の子に囲まれていた宇髄さんは一体どうして、わたしのそばにいてくれるのだろう。
ブレンダーにかけて滑らかにしたかぼちゃのポタージュを温め直しながら、スマホをいじる宇髄さんを見つめる。
「…ん?手伝うか?」
「あなたご主人様でしょ。座っててください」
考え込んでいるのを察したのか宇髄さんは声をかける。
人の気持ちに機微な人だ。
宇髄さんには隠し事ひとつできない。
◇
すげぇ!うまい!さいこう!
そんな最上級の褒め言葉を口にしながら、宇髄さんは始終波奈の作った手料理に舌鼓を打つ。
スープにサラダに、宇髄さんが好きと言ってくれた筑前煮に、そして何度も動画を見てイメージトレーニングをしたステーキ。
焼き加減がレアで、想像以上に上手くいって柔らかく仕上がった。
波奈はほっとしてどれも美味しそうに頬張る宇髄さんを見て、嬉しくなった。
っていうか、ばくばくもりもり食べる大男の宇髄さんが、なんだか可愛いのだ。
◇