満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第4章 愛に似た《煉獄杏寿郎》
時が経つのは早いもので、グランドの木々たちの色づいた葉はパラパラと落ち始め、寒さがグンと厳しくなってきた。
高校三年生の受験の日程も残りわずかで、更なる追い込みで補講やら演習やらで教員たにもバタバタし始めた。
『君ならもう少しレベルが上の大学を狙えるが、第一希望はここでいいのか?』
模試の成績を確認しながら俺は沢田波奈に声をかけた。
個人面談である。
『先生たくさんの資料ありがとうございます!
ここは国公立で家からも通えるし、成績上位だと奨学金も免除になりそうだし、ここが1番お金がかからないかも…』
とムムムと考え込みながら大学の資料を一緒に確認する。
俺としては、この優等生ならもっとレベルが上の、遠くへ行ってもやっていけるだろうとは考えるが、いかんせん彼女の家庭事情もあるため、彼女の希望に沿うに納得した。
『看護学部か。ふむ。君にぴったりだな!
大学に進学すれば、病院の看護師だけではなく地域や企業、学校で資格を生かせて働ける。視野はぐんと広くなる!』
『へへ…。お父さんが看護師さんにすごくお世話になったので、自然と志たいなーと。』
『そうか!看護師は体力も精神力もタフではないといけない!君ならきっとなれるはずだ』
ニコニコ、と2人で目を合わせて笑った。
『はあ〜でも受験が終わればもうすぐ卒業か!
さみしいなー!ね?先生!』
彼女はふにゃふにゃと力が抜けて
俺の顔を覗き込んだ。
『まあ、そうだな!
君たちが巣立っていくのは確かに寂しいが、
成長は嬉しくもある』
ばら撒いた様々な資料たちを片付けながらそう言うと、彼女は俺の言葉にまたふわと笑った。