満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第4章 愛に似た《煉獄杏寿郎》
「うおーい呑んでるか沢田ー!」
「宇髄先生っ…うわあ!」
ドボドボと目の前にビールが注がれる。
それを慌ててグラスで受け取るも、すぐにグラスはビールで満たされた。
「んで?沢田のカレシはいくつ?
大学で?どんなやつ?写真ねーの?」
ぐいぐいと沢田に絡む宇髄。
沢田は
「ええ…と」
と恥ずかしげにもじもじさせる。
「写真はないです」
「嘘つけお前ー!」
とさらに悪がらみする。
「おい宇髄」
あまり呑ませるのも…
と制止するが、彼の勢いは止まらない。
「まったく…」
「まあいいんじゃねェ?沢田はいろいろあって俺らも気にかけてた生徒だったし」
「その節はありがとうございました…」
「お母さんや妹さんもお元気かしら?」
「それはもうとても元気です!」
あぁ、よかった…!
とここにいる教師全員が思ったことだろう。
彼女は今、全うな道に進んでいる。
元担任として、それがとても誇らしかった。
「ううっよかったなあお前…っ」
涙目で宇髄は沢田の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
「彼氏がクズだったら許さねェぞ」
「どんなやつだ?電話しろ」
「おい」
悪がらみにもほどがあるぞ、と制止すると、
「いえあの…っ
わたしにはもうもったいないくらいの方なので、心配しないでください!」
「ほーん」
「…」
グリ、と音を立てて胸をえぐられる。
俺はたまらず、いたたまれず、
フラリと立ち上がり、お手洗いを目指した。
お酒の影響もあってか、
フラフラと足元がおぼつかなかった。