満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第38章 血鬼術を解いてよ宇髄さん3※
「…はーーー」
ため息を吐いて布団に倒れるように横になった。
そういえば鬼狩りの帰りだったわ。
思い出すと疲労がどっと押し寄せてくる。
「大丈夫ですか?わたし、温かいお湯お持ちします」
「いい。ここにいろ」
「でも、」
「いいから」
白衣を羽織ろうとした波奈を制して、手首をひっつかんで胸の中に押し込んだ。
はわ…っと慌てる波奈の頭をぽんぽんと撫でて、まるで子どもをあやすように抱きしめた。
柔らかで、甘い香りがする。温かい。じわりと胸の内が熱くなる。
事後のあとは、こうして抱きしめて朝を迎えたかった。
波奈が目覚めたときにそばにいてやりたかった。
明日は非番で、急な任務がない限りゆっくりできるはずだ。
「あ、あの、うずいさん…」
「なに」
「わたしが眠って起きたら、そばにいてくれますか?」
「…え?」
「いえあの、…目覚めて起きたら、宇髄さんがいないの、寂しかったので、今日はいて欲しいな…と、思いまして…」
任務があるなら仕方ないですけど。
そう小さく言って顔を赤らめる波奈に、また心臓を掴まれた。
「……おまえ、…。あぁ、約束する。今日はどこにも行かない」
鬼殺隊である以上は、明日の命の保障はないが、それでも一緒にいてくれるのならば、そんな幸せなことはない。
これからはもっと一緒にいれる。夫婦になれば、毎日だって。
宇髄はまた、あたたかなそれを引き寄せて、グッと抱きしめた。