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満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】

第38章 血鬼術を解いてよ宇髄さん3※





後日談。波奈には身寄りがいない。
そういった事情のあるやつは、鬼殺隊の中では珍しいことではない。

よって蝶屋敷の胡蝶しのぶがいわば波奈の親代わり、なのである。


「宇髄さん、俺は安心だ、波奈に執着はしないとおおみえきってましたよね?」

はあ、と深いため息で耳が痛い。

「まあ…、血鬼術を解いてくれたことには感謝致しますが」

そう言いながら胡蝶はトントンと、分厚い報告書を束ねた。


俺は今正座をしながら、胡蝶しのぶに報告をしていた。
長屋敷で働く、春のように温かな女の子を好きになった、と。
頭を下げる俺を見て、胡蝶は深いため息をまた吐いた。

「…顔をあげてくださいよ宇髄さん。
あなたの気持ちはとうにわかってましたよ」

「えっ、そうなの?」

「はい。奥方様から分厚い手紙が届きましたから」

胡蝶は分厚い紙束を宇髄に見せた。
それは宇髄の嫁たちが書いたフミで、いかに宇髄が波奈のことを想い大切にしているかという内容だった。
あいつら、いつのまに。

「ここまで懇願されては許さないわけにはいきませんし、それに」

派手な菫色が柔らかく笑う。

「波奈はあなたとまぐわってから、ぼんやりするはミスはするは急に真っ赤になるわ、大変だったんですよ。
もう、早く囲ってやってくださいよ」

どことなく寂しげで、されど嬉しそうに、胡蝶は俺を見つめた。





今夜は非番だ。波奈が長屋敷の仕事が終えたら、一緒に音屋敷に帰ろう。
輿入れとなれば準備を始めなければならない。

蝶屋敷の桜の蕾が春はまだかと膨らんでいる。
桜が咲いたら、派手に花見をしよう。
柔らかな波奈の顔を思い浮かべながら、宇髄は波奈のもとへと急いだ。



おしまい♡


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