満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第4章 愛に似た《煉獄杏寿郎》
彼女は、小さく薄桃色の唇を少し震えさせながら、むく、と上半身を起こした。
そして、ハンカチをキュッと掴み、ぽつりと話し出した。
彼女の妹が思春期であり、反抗的な態度をとることと夜遅くまで家に帰らないこと。
父親がなくなり、母親は仕事をし始めるが、ふとしたきっかけで鬱状態になり通院、沢田が看病をしていること。
沢田はアルバイト、家事、母親の看病に妹の世話を担わなければならないこと。
『…お母さん、昔は優しくて仕事も一生懸命だったんです。でも、鬱になってしまって寝込んじゃって…』
『妹は母親がこんなだし、私もバイトで家を空けるし、グレちゃって』
『帰ったら洗濯に掃除にご飯の準備に
くたくたで今回テスト勉強できていない』
『先生、わたしも友達みたいに部活や遊びがしたいです』
『勉強もしたい。将来の夢だって思いっきり挑戦してみたい』
『お金がなくて、妹も高校に入るし、大学の進学もしないでほしいと言われた』
『どうしてわたしはみんなと同じようにできないんだろう』
彼女の背中にはずしりと重い荷物が載っている。俺は彼女の話を聞いて声も出なく驚愕した。
なんて重い荷物を背負ってるのか。
彼女はポロポロ流している涙は止まらない。
俺は彼女の目のほうへ指をとり、彼女の涙を拭う。
そして俺は思わず、彼女の肩に両手を乗せた。