満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第4章 愛に似た《煉獄杏寿郎》
あれは、彼女が高校三年生に進級した初夏だったように思う。
三年生になって皆受験や進学が意識し始めた頃。三年生になり初めての中間テスト期間でのことだった。
「煉獄先生!!波奈が倒れた〜!!早く来て!!」
「?!」
帰りのホームルームのため、教室に向かっていると、走ってきた生徒が慌てて俺を呼んだ。
俺も慌てて教室に入ると、
窓側の席の横で、彼女はうずくまっていた。
『おい!沢田!大丈夫か?!』
彼女は、真っ青な顔でハアハアと息をし、冷や汗をかいていた。
慌てて、席にかけてあった彼女のカーディガンを彼女の腰に巻き、彼女を抱えた。
軽いな!!
『みな俺が戻ってくるまで待機!!』
そう言って俺は、彼女を抱え、保健室へと走ったのだった。
『ん…煉獄先生、ごめんなさい…』
保健室のベッドにおろされ、虚な目で彼女が謝る。
『いや構わん。体調はいつから?』
『わかんないです、気付いたら倒れてて…』
『君は普段から頑張りすぎぐらい頑張り過ぎている!
勉学も大切だが、まずは身体を大事にしなくては。
夜は眠れているのか?』
『…先生…昨日は…』
『うん?』
『先生…っどうしよう…っ』
『?!どうした』
いつも明るく、穏やかで、なんの弊害もないかのように笑う彼女が、
保健室へとベッドの上で大量の涙がぽろぽろと溢れ落ちた。
それには俺も衝撃的で、ひどく動揺したのを覚えている。