満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第34章 くらし、始まる※《宇髄天元》
震える手でシュルと帯を解く。
自然と緩まった襟元をギュッと握り締めた。
寝巻きを全部脱いで、それからどうしたらいいんだろうか。
布団に入ればいいのだろうか。
ジッと見つめる宇髄の視線がもうどうしようもないほど居た堪れなくて、もうずっと波奈は宇髄を見れない。
部屋ではひとつの行灯が部屋を柔く照らし、その下で自分の裸をこれから晒すなんて。
ゆったりと座っていた宇髄が、そっとこちらに近づいてきて、それから波奈の肩に手をつく。
顔が近くなって、波奈はパッと下を向いた。
「あ、あの…、うずいさん」
「ん?」
「あの、その…、わたし、身体が貧相でして」
「…ふは!今更言うか」
意を決して言ったことを笑い飛ばされる。
今更、なんて言われてしまえば今更なのだけど。
「ほんと、覚えてないのな」
「…え、なに、を?」
「最終決戦の後、三日間ぶっ続けて寝ることなく治療や処置に明け暮れて、ついにはぶっ倒れたお前を介抱したのは俺だよ」
「…え?…え?」
「服剥ぎ取って身体を拭いて着替えさせて、布団に寝かせたのはこの俺」
「わあああ!」
真っ赤になる波奈に、ふふんと自慢げに宇髄は言う。
だから今更だっての。
そう言いながら宇髄は波奈の肩をグインと押し、波奈は布団に倒れ、いともかんたんに片手で寝巻きを剥ぎ取った。
真っ裸になってしまった波奈は、両腕で胸を隠すが、それも余裕で両手首をひとまとめにされて頭上へと押し上げられた。
熱っぽい視線で全身を見下ろされ、波奈はもう顔から火が出そうだった。
「ド派手に昂奮したから安心しろ」
「…っ、でも、っ」
それ以上は言うなと制止するようにキスをされる。
素早く口にねじ込まれた舌で、ノックするように舌を絡まれる。
息継ぎも忘れるような深い口づけに、思考回路はおいつかない。
宇髄は口づけを辞めて、バサリと眼帯を外した。
隻眼側の稲妻のような傷が目に入った。
激闘を物語る痛々しい傷は、波奈が手当てをしたもの。
その傷をそっと撫でると、宇髄は少しだけ笑って、もう一度波奈に口づけをした。