満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第34章 くらし、始まる※《宇髄天元》
秋も深まり、立派な庭は落葉でいっぱいだ。
波奈はその赤や黄色に色づいた葉を箒で集めて、山のようにしたら、そこで芋でも焼きたくなった。
「芋でも焼きたくなるな」
そう言ったのは縁側に座っていた宇髄で、全く同じことを考えていた波奈は嬉しくなってクスクスと笑ってしまう。
「焼きましょうか。ちょうどあるはずですよ」
お、いいね。と子どものようにわくわくとする宇髄に、こちらも心が浮き立った。
熱い焼き芋をふうふうと冷ましながら、2人で並んで芋を食べる。
なんだか老夫婦のようで、悪くはない。
「…あふ、あふいでふね!」
パクリと食べたら思った以上に熱かった。
それを見て宇髄は笑う。
「…なぁ、」
「はひ?」
「そろそろいいか」
「ん?なにをでふか?」
「何って、ナニだよ」
「………」
宇髄の呆れたような、それでいて照れたような顔をしたので、波奈はナニが何か理解した。
しゅわしゅわと顔が熱くなる。
さつまいもをいっぱいに含んだ口を慌てて押さえた。
2人の生活が始まり、7日が経つ。
夜は相変わらず腕の先がない腕枕をされて、右手は相変わらずお腹をさすられ、眠りにつく。
すっかりとその眠りの儀式にも慣れてしまって、月のものも手伝って、すっかりと2人の閨の雰囲気には遠かった。
しかし、経血はどうやら収まっていて、月のものは終わったと言える。さすがは宇髄だ。女の月のものの日にちは、よく理解しているようだ。
「…こっちの気も知らねーでいつもスヤスヤと」
「そ、それは、気持ちが良くて…」
「んじゃあ今日はもっと気持ち良くさせねえとな」
「…う、ぇえ?」
あたふたと、動揺し、顔を赤くする波奈に、宇髄はまた悪戯そうに笑う。
芋の味は、わからなかった。