満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第34章 くらし、始まる※《宇髄天元》
宇髄が音屋敷から出かけたのは朝餉が終わってからすぐのことで、
なんでも毎日、最終決戦後の街中の処理や対処、鬼殺隊の記録やその他色々と何かとお忙しいらしい。
宇髄を見送ってから、波奈は心落ち着くまでは少々時間がかかった。まだ一緒に暮らしてたった1日と言うのに、あの容姿淡麗な宇髄に抱かれるのかと思うと声を上げて何度も蹲ってしまうのだ。
それでも洗濯物が乾いて取り入れている頃には、ようやく落ち着いて、なるようになるかと肩の力が抜けてくる。
もうこうなってしまっては仕方ないかと。
衣類を片付けているとき、ふと下腹がキュウと締め付けるような痛みがする。この痛みは以前にも経験があった。
ハ、として厠へ急ぐと、何ヶ月かぶりの月のものがきていた。
慌てて赤く染まってしまった物を脱いで、一応に用意していたものを当てた。
今にして思い出したように月のものがくるなんて、と波奈は自分に呆れながら、汚れた下帯をごしごしと洗った。
「ーーーなにしてんだ」
「うわっ、あ、おかえりなさい」
背後から影が被さり、大男が見下ろしていた。
大男に驚くのも慣れてきたのか、波奈は宇髄の帰りを出迎える。
「…どうかしたか」
「いえ、なにも?」
宇髄の目線がちゃんぷんと樽に沈んだ下帯にあることに気付いた波奈は、そういった後に、あ、と思った。
「あ、えーと、月のものが来まして…」
こんな夕刻に洗濯など不思議に思ったに違いない。
波奈はエヘヘと笑いながら伝えた。
「…あーー…、そうか。それはご苦労なこって。身体冷やすなよ」
そう言って宇髄が屋敷に入っていった。
波奈も洗い物が終わり屋敷に入ると
宇髄は火鉢で部屋を温めてくれていた。
「今日は夕飯、俺が作るからもう休んどけ」
と言われ驚いて断ったが宇髄はそれを許さずに、波奈を座らせた。
味の保証はないけど、と言われてハラハラとしたが、宇髄はザクザクと野菜を切って調理していく。
意外にも手際が良い。なんでも器用にこなせる男である。
炊き上がったご飯は少々柔らかく、できたおみおつけは薄かったが、とても美味しかった。