満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第34章 くらし、始まる※《宇髄天元》
その後の朝餉は食事の味がわからなかった。
はっきりと同衾をするぞと宣言され、波奈は狼狽えてしまう。
こんなこと覚悟の上であったはずなのに、いざ目の前になると恐ろしくて仕方がない。
勘の鋭い男はそんな波奈の様子を見て
おぼこいなほんとに、と面白そうに笑うものだから、む、と少し口を尖らせた。
仕方がないでしょう、身体も心も子どもなのだから。
「まあそうあたふたするなよ。俺だってゆとりがあるわけじゃねえんだから」
「嘘ばっかり」
「ほんとだって」
そう言いながら宇髄は優しく頭を撫でる。
少し顔が赤らんでいるのは、気のせいだろうか。
ほんとうにこの男は、何を考えてるのか、本心が少しわかりにくいところがあるのだ。
元忍だから、その胸の内は隠すものなのだろうか。