満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第34章 くらし、始まる※《宇髄天元》
なん、なんなのあの凶器は。
まるで鉄の大きな棒のようだった。
波奈は寝巻きから急いで着替えを済ませて、台所に立って火を起こした。
未だにあのカチカチに固いものが当たった太ももの感触が忘れられずに、
ぶあっと赤くなって汗が先ほどから止まらない。
男の人の性器は、職業ゆえに何度も見たことがあるとはいえ、ああいった興奮していらっしゃるモノは、波奈は今までに見たことがない。
宇髄は背丈も大きいし、それ故にそちらのほうもそれに合わさった寸法ということなのだろうか。
波奈は、宇髄のお嫁さんの夜の情事に関しては務まるのかと一抹の不安を覚え、次はひやりと冷や汗をかいていく。
「どうかしたか」
「きゃああ?!」
「んだよ、人を化け物みたいに」
急に後ろから声をかけられ悲鳴をあげてしまうと、
宇髄は呆れながら後頭部を掻いている。
寝巻きが着崩れて、逞しい胸の筋肉がちらりと見えて、波奈はまたしてもドギマギと顔を赤くさせた。
「おは、おはようございます…」
「朝飯の準備、手伝うぞ。これ切ったらいいか」
「ええっ?!いいんですよ、そんな…っ音柱様に手伝わせるわけには、」
宇髄はそこに置いてあった秋茄子を手に取ったが、波奈の言葉でぴたりと手を止めた。
は、と波奈もしまったと口を紡ぐ。
音柱ではなく、彼はもうわたしの。
「……ふーん」
まずい。まずいまずい。
あたふたする波奈を尻目に、宇髄は静かに笑いながら波奈の目をジと見つめる。
赤い切長の目に、波奈はとことん弱い。