満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第34章 くらし、始まる※《宇髄天元》
「……で、どうする」
かたんと箸を置いて、宇髄はジと波奈を見つめた。
そのルビー色の目で見つめられて、波奈はビクンと身体が揺れる。
「……どうする、と、言うのは…?」
「は、とぼけてんのか?
散々お前に嫁に来いと口説いて、お前が奥様方がいなければ喜んでいきますって」
「えっ、あれ、ほ、本気だったんですか」
「冗談で嫁に来いなんて言うかよ」
それともお前は、喜んで行くっつーのは冗談だったのかよ。
宇髄は頬杖をついて、波奈を見つめる。
「…え、と、あの…その、いきなりのことでなにがなんだか…」
「ふは、だろーな。まあ返事は待ってやるよ」
ゆったりと、宇髄はおもしろおかしそうに笑ってそう言った。
「この身体じゃあ、なにかと不便でな。お前がいてくれると助かるんだわ」
ーーー何度でも言う。嫁に来い、波奈。
今まで散々鬼殺隊に尽くしてきたんだ。
自分の幸せだけを考えてもいいんじゃねえか。
そう言って宇髄は、そのルビー色の瞳を真っ直ぐに波奈を見つめた。