満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第33章 媚薬50本飲まないと出れない部屋※《宇髄天元》
『ふふ、天元様ったら、あんなに波奈ちゃんのことを気になさって』
それは蝶屋敷にて、雛鶴が何気なく言った言葉だった。
部下を庇い地味に怪我を負ってしまった宇髄は、こんな傷ほっとけば治ると言ったのに無理矢理に雛鶴に連れてこられた。
蝶屋敷には大体いつもあいつーーー波奈がいて、いつものように波奈に早く休めだの飯は食ってんのかだの口出しをしていた。果てには体重はどれぐらいだのと波奈に問い詰めていたときだった。
『はー?!こいつがあんまりにも働きすぎてるせいだろ!子どもは働かずに遊んどけって』
『ひ、雛鶴さあん…っ宇髄さんが虐めてきます』
『まあまあ…』
くるりと雛鶴の影に隠れる波奈をまた責めたてて口うるさく言うと、遠くの方で波奈を呼ぶ声がした。
…まったく、ここ蝶屋敷は本当に忙しそうだ。
波奈は助かったとばかりにはあい!と返事をしてそそくさと後にする。
呆れながらに波奈の背中を見つめていると、雛鶴はくすくすとまた笑っている。
『……なんだよ』
『天元さまって、お好きになった相手には意地悪をしてしまうんですね』
『………は、はあ?』
思ってもみなかった雛鶴の言葉に唖然とした。
『あら、自分では自覚がないんですか。
もしかして、初恋ですか?』
そうにこりと笑う雛鶴を、宇髄は一瞬言葉をなくす。
『だ、だれが、…っ!…』
初恋だって?いやいやいや、お前は俺の女房だろーが。
何楽しそうにしてんだよ。
『……ちょっとまて雛鶴、俺は、』
『ほら、早く蟲柱様のところで治療なさってください』
誤解を解こうとあたふたと言いかけたが、雛鶴は背中をぐいぐい押して処置室へと連れて行かされた。