満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第32章 禁欲の制裁※《宇髄天元》
2泊3日の出張を終え帰ってきたのは20時を過ぎた頃で、
「ただいまあ」と意気揚々と帰ってきた宇髄を波奈は出迎えた。
「いい子にしてた?」
「し、してましたよぅ…」
波奈は口を尖らす。
宇髄が居なかった2日、宇髄は夜に波奈に電話をかけていた。
『俺がいないからって1人ですんなよ』と釘を刺されていた。
波奈にとって、恋人ではあるが元教師にそんなふうに言われると、真面目で従順な波奈は自然と従ってしまうのだ。
「そ。えらいえらい」
宇髄はわしゃわしゃと頭を撫でる。
波奈は黙ってそれを受け入れた後、宇髄のシャツの袖をキュっと握って、くいくいと引っ張った。
その行動に、宇髄は少し驚いて目を見開く。
「……波奈?」
「……あ、あの、…帰ってきてすぐで、…その、…お疲れだとは思うんですけど……っ」
言葉尻はもう今にでも泣き出しそうに震えていた。
宇髄は、しまった、と一瞬罪悪感が激しく襲った。
「…うずいさぁん…っ」
大きな瞳はもうとろんと蕩けていて、涙が溜まっていた。
震える声で小さく名前を呼ばれた後、波奈は宇髄に抱きついて、身体を擦り付けるように小さく揺れる。
ドッ!と胸を突かれたような衝撃で、そんな波奈の行動に動揺した。
ーーーやり過ぎたかもしれない。
こんな、まだ身体のアレコレを覚えて間もない子どもに。
宇髄は波奈の肩を抱いて頭を抱えた。
「…ん、わかったから、寝室行くぞ」
「ひあっ?!」
ぐいんと担ぐように波奈を肩に乗せて、身体が滑り落ちないように太ももを押さえて寝室へと向かう。
身体が反転した波奈は、驚いて声を上げる。
太ももを押さえたときにビク、と身体が反応したのを見逃す俺ではなかった。
ギリ…っと焦る気持ちを奥歯で噛み下した。