満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第32章 禁欲の制裁※《宇髄天元》
…明日で、1ヶ月…。
波奈はカレンダーを見つめながらそう心の中でつぶやく。
明日で1ヶ月ということは、明日は宇髄さんとできるのかな…。
波奈はそわそわと考える。
そんなことをずっと考えてしまう自分はなんてはしたないのだろうか、と罪悪感が襲ってしまうが仕方がない。
自分で熱を発散もさせてはいけないうえに、愛おしい宇髄さんは近くにいるのだから、ますます欲求は高まるばかりである。
「ただいま」
「宇髄さん?!今日は早いですね?」
リビングドアを開けた宇髄を見て波奈は驚いた。
「急に出張になった。今から出るわ」
「えっ?!今からですか?」
時刻は午後4時を過ぎたところだった。
「修学旅行の下見に行く予定の先生の親戚に不幸ごとがあったらしーんだよ、代わりに俺がな」
そう言いながら自室に行き、服を脱いでYシャツに腕を通している。
スーツケースを準備しているということは、泊まりで行くのだろうか…。
「関西方面に行くからお土産買ってくる。明後日帰るから」
スーツケースに視線がいく波奈に気づいて、宇髄はニコっと楽しそうに言った。
お土産何が良い?551?とふんふん鼻歌歌いながら、ネクタイを結んでいる。
ネクタイを締めた宇髄さん…
波奈は久しぶりに見た、普段とは違うスーツ姿の恋人にほわりと胸が高まった。
「うん?そんな色男?」
「へっ…」
その波奈のとろりとした視線に気がつかないはずがない宇髄は、からかうようにそう言う。
波奈は図星を突かれてあわてふためいた。そんな波奈を見てますます面白そうに笑う。
2泊3日の荷物を詰めたスーツケースを持って、宇髄は颯爽と出かけていった。
玄関先まで見送るときに、波奈をギュッと抱きしめて、
「ごめんなぁ波奈。明日だったのになあ?
帰ってくるまで我慢しろよ」
なんて、耳元で宇髄の艶めいた声で言うものだから、
波奈はかくんと腰を抜かしそうだった。
顔が上気して、じわりと涙目になりながら
「……は、はい、……いってらっしゃい」
となんとか返事を返したのだった。
つづく→