満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第32章 禁欲の制裁※《宇髄天元》
おかしい。おかしいよ。
波奈は夕飯の洗い物をカチャカチャと片付けながら、リビングのソファーでタブレットを操作している宇髄の後ろ姿を見つめた。
あの飲み会記憶無くし事件から、10日は経つ。
『1ヶ月セックス禁止』
という、急に言い放たれた言葉を思い出す。
あのときは二日酔いでふらふらで、何を言われたのかすぐに理解は出来なかった。
そう、この10日、宇髄との夜の行為はしていない。
(え、1ヶ月禁止って、まじなやつ?)
宇髄が怒って面白半分冗談半分で言っただけのことのことだと思っていたが、もしかして本当にそうなのかもしれない。
波奈は成人してすぐに宇髄と同棲を始めて、半年が経っている。
初めは寝て起きても帰ってきても、側に宇髄がいることに、幸せではあるが、少し緊張していた。
学生と社会人で立場が違うし育ってきた環境も違う。
家事のやり方だって食の好みだって違っている。
しかし、牽制し合いながらも時間の経過と共に、お互いにだんだんと歩調が合うようになってくるものだ。
それは大抵、波奈のやり方や考え方を、宇髄は受け入れて合わせてくれるのが大半だった。
性行為だってそうだった。
成人するまでは抱かないと謎のコンプライアンスを守り抜いた宇髄は、やっと二十歳を越えた波奈との性行為を徐々にゆっくり慣らしていく。
次の日に響くような激しいときはあるが、性行為をするとき、それは波奈が休みの前日であったり、午後からの授業の日だったりする。
次の日が休みの金曜日、土曜日。そして午後授業の日の前日の火曜日。
きっちりと決まっているわけではないし、できない日ももちろんあるけれど、大体は週に2〜3回が、波奈と宇髄の夜の回数だった。
世の中の恋人同士の、性生活の程度は知ったことではないが、
何もしない10日は、同棲してから初めてだった。
それについて波奈は、静かに動揺はしていたが、
心のどこかですぐに宇髄は自分を求めてくるだろうと楽観的だった。
へとへとになるまで毎回抱き潰されるあの体力おばけに精力おばけである。
そのうちすぐに波奈を抱えて、ベッドに押し倒すはずだ。
ーーーと、波奈はたかを括っていた。