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満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】

第1章 おかえりなさい※《煉獄杏寿郎》






「波奈、よく聞きなさい。
 あなたはあの煉獄家に嫁ぐのです。
柱というのはいつ死ぬかわからない身です。」


「はい、お母様」

あれは杏寿郎との祝言を挙げる前期間、
母親や祖母から徹底的に花嫁修行をたたきこまれていたときだった。

「そして鬼狩りというのは非常に神経を昂らせるものです。
生死の狭間にいるということは、つまりは生殖本能を昂らせるものなのです」


「…はあ、お母さま…」


「隊士の情欲にはきちんと応えなければなりません。
いいですか?
柱なら尚のこと。
もしもいかなる場合でも妻というのは夫の行いに応えなければいけません」

「わ、わかりました…!」

「柱の情欲の発散は新たな高みになるのです。
波奈、あなたは杏寿郎さんをしっかりと受け止めなさい。
それが鬼のいない世の中へと導くことができる、あなたができることなのです」

「ぶ、!なにそれお母様、波奈にそんな話はまだ早いわよ!」

隣に座っていた波奈の姉がくすくすと笑う。
波奈には姉が2人おり、1番の末っ子である。
そして家は代々鬼殺隊の隠であり、
父母も隠、2人の姉も隠であった故に、鬼殺隊内部の事情などは把握していた。
ただ、波奈にはその才はなくーーー
波奈は小さいときからとてもおっとりとしていて、
剣術も運動もなかなか上達はしなかった。
だからと言ってそれを両親や姉達が嗜めたりはせず、
末っ子故もあるが、いつもにこにこと振る舞う菜子のことを周りはたいそう可愛がり
「波奈は隠なんてならなくてもいいわ!わたしたちが継ぐもの!あなたはあなたの人生を生きて」
と、よく言われたものだった。

波奈は剣術こそ恵まれなかったが、周りのことはとても気が効いて、それでいてとても真面目であり、学術が秀でてはいた。
しかし、波奈は隠の家系に生まれた環境のなか、自分が剣士や隠になれないことはたいそう自分を卑下した。


柱としとねを共にする → 柱強くなる →鬼をいなくする

という母の教えにより、
自分の存在意義はこれでは無いかと。
わたしとのしとねで、世の中は変わる、とすら思ったのである。




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