満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第30章 初めて触れるヒト《宇髄天元》
朝、家の最寄り駅に着くと、既に宇髄は駅のホームで立っていた。
「おはようございます、宇髄先生」
「おう」
宇髄は素っ気なく波奈に言った。
…先生まだ怒ってる?と波奈はビクビクした。
プシュ…と開いた電車ドアに、2人で乗り込む。
朝の電車内は既に少し混み始めており、宇髄と波奈はドア側に立った。
…なんか、2人で電車で通学するなんて変な感じ。
チラリと盗み見た背の高い宇髄は、スンとした表情で何を考えているかさっぱりである。
『ねえ、あの人カッコ良くない?』
こそっと小さく聞こえ、思わずその声に目を向けると、OL風のお姉さん2人がチラチラと宇髄のことを見ている。
…たしかに、宇髄は誰が見ても美丈夫で、さらに190センチを超える身長はかなり目立つ。派手な額当てをしているし、左目には赤い梅の花のような模様のペイントがあり、よくわからないがそれが何故か様になって絵になる。教師とは誰も思うまい。
「…先生、かっこいいから目立ってるよ」
「…あ?当たり前だろーが」
こそっと波奈が言うと、
興味なさそうに宇髄はパーカーのフードを被った。
声かけられんのうぜーから地味だがフードを被る、という彼のスタンスをふと思い出す。イケメンは大変なんだなあ…と波奈は思った。