満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第25章 前世から※【宇髄天元】
「…」
「…」
しばらくお互い沈黙が続く。
チッチッと規則的に鳴る時計は、真夜中の0時を過ぎた頃だった。
「…帰ってきてくれてありがとう」
そう言うと、波奈はふるふると顔を横に振った。
それから、ぼろんと大きな涙が、波奈の瞳から溢れ出た。
「う、」
「…う?」
「っうわあああんっ…」
「?!」
波奈が思いっきり息を吸ったかと思うと、俺のTシャツを掴んで叫ぶように泣き出した。
こんな泣き方をする波奈を見るのは初めてのことで、至極驚く。
「…お、おい、」
「うっ、ご、ごめん、なざい“っ…っむりですっ
むり…っうずいさんが他の人を好きでもっ…
やっぱり離れられないぃいっ…っ」
「…え、?は?」
「う、うずいさんがっ…わたし以外の人と浮気してても、っ…っ
やっぱり好きなんですっ…ごめん、…なさい“っ」
「なっ?!う、浮気?!してねーよ!!」
何かこいつは大きく思い違いをしているようだ。
俺の胸の中で、わんわん大きな声で泣いており、俺の主張は全く聞く耳を持たずにごめんなさいと謝り続けている。
「おいおいおい待てよ、ちょっと、聞けって!」
と何度も言っているが、わんわん泣いている。