満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第3章 嫉妬の先に※《煉獄杏寿郎》
「身体は大事ないか?」
ゴロンと波奈を布団に寝かせて、身体を優しく撫でた。
「はい…大丈夫です」
「それは良かった!」
にこっと杏寿郎は笑い、
波奈を体にひきよせた。
「では今晩は大人しくひっついて寝るとしよう!」
ギュッと抱きしめて、またもや波奈をよしよしと撫でる。
杏寿郎はとても優しい。きっと3日間我慢したであろう、ようやく解放されると思いきや…なのである。
それでも嫌な顔ひとつせず波奈を気遣う杏寿郎に、キュンと胸が締め付けられた。
『下半身捕まえとけよ』
『奥さま以外と致したいときはぜひわたしのところへ…』
先ほどから、いつかの宇髄の言葉と、今日の遊廓の女の人の言葉がぐるぐると波奈の頭をまわっていた。
いい香りが漂う、綺麗な人だった。
あんな人に迫られたら、杏寿郎さんはもしかするともしかするかもしれない…
そう思うと、波奈の心の中からムクムクと真っ黒く、汚いような感情がふつふつと湧き上がってくるのだ。
波奈にとっては初めてかもしれないこの、怒りのような、悲しいような、情けないような、そんな感情であった。