満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第25章 前世から※【宇髄天元】
『宇髄さん、今日は上司が詳しくお話をして正式に契約したいとのことですが、お時間ありますか?』
そうお昼にカフェで打ち合わせをしていると、担当者が電話を終えた後そう言った。その電話はおそらく上司だろう。
契約という言葉に胸が躍った。早く帰って報告したい。
担当者に、今日は彼女と記念日なので、遅くならなければ大丈夫だと了承した。
が、男の上司と晩御飯をかねての待ち合わせをした。
仕事の話につい俺も上司も白熱し、時が過ぎる。
波奈に遅くなると連絡を入れたが、気づけば遅くなってしまった。
「おかえりなさい!お腹空きましたよね?すぐ準備します!」
パッと明るく言う波奈。
「悪い、食べてきた」
もう波奈の顔は罪悪感で見れなかった。
きっと準備してくれていたのだろう。
遅くはなるとは連絡したが、夕飯のことまでは連絡できなかった。
「そ、そうなんですね、じゃあ明日に置いときますね」
明らかに悲しそうな顔をした。
しかし必死に微笑む波奈に、胸が苦しくなった。
本当に悪いことをした。
「ごめんな、風呂入るわ」
波奈はお酒やたばこの匂いが苦手だ。
早くすべてを落とし切って、波奈を抱きしめたかった。
「…波奈?どっか行くの?」
風呂上がりにリビングに行くと、大きめの荷物を持った波奈が、背を向けるように立っていた。
…胸騒ぎがした。
「…波奈?」
波奈は俺に何かを投げつけ、さようならと言って、出て行ってしまった。