満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第25章 前世から※【宇髄天元】
波奈がここへ住むようになってから、毎日が鮮やかに彩られるようだった。
100年前ーーー前世でも俺と波奈はお互いに想いあっていて、4人目にと囲もうと試みたが、あいつは俺の手をするりと離した。
『音柱様、3人の奥様方、大切にしてください。わたしはもう十分あなたからたくさんの愛をいただきました』
待てよ。俺は嫁ももちろん大切にするつもりだが、お前のことも大切にする。あいつらだってお前がここに来てくれるつもりだって。
何遠慮してんだよ。
『わたしじゃ一緒にあなたと戦えません。きっと足手まといです』
にこっと俺を見つめて笑う顔は、苦しいと言う音が聴こえる。
どれだけ引き止めてもあいつの答えはとうに決まっていた。
あいつはとうとう俺の届かないところへいってしまった。全く知らないやつと、全く知らない土地にあいつは嫁いで行った。
何度も近況が気になり文を届けたが、返事が来ることはなかった。
俺の後悔。俺の唯一やり残したこと。
そんな前世の想いが現世にまで引き連れてきた。
探しても探しても見つからなかった。
ようやく会えたってのに向こうは生徒。
だが問題ない。ようやく会えたのだから。
ゆっくりと時間をかけて手元に置いておけばいい。
100年も待ったんだ。今度こそ波奈と結ばれるはずだ。
あいつは前世と同じで親には恵まれず、祖母と暮らしていたが、その祖母も他界して、俺と一緒に住みだした。
穏やかで楽しくてしょうがなかった。
が、あいつはいつか出て行くつもりであるようだった。
バイトも掛け持ちして、それはいつか出て行くためだと、俺の迷惑になりたくないと。