満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第25章 前世から※【宇髄天元】
ーーーまた今日もしてくれなかった。
ズキンと胸が痛んだ。
その胸の痛みを隠すように布団に潜り込み瞼を落とす。
経験豊富な8個年上の彼と、一緒に住み出して3ヶ月が経とうとしている。
彼は高校の非常勤美術教師をしていて、わたしは彼の生徒だった。
高校を卒業してから本格的に付き合いだした。
両親は小さい頃に他界し、育ててくれた祖母は高校の頃亡くなった。天涯孤独なわたしに、
んじゃここに住めばいいじゃん、とあっけらかんと言う宇髄さんに、戸惑いお断りもしたけど、祖母を失った喪失感と孤独感は堪え難いもので、一時的に宇髄さんのマンションにお世話になっている。
大学の学費は幸いにも祖母がそれように貯めていてくれたため、どうにかなる。しかし生活費を稼ぐために、微力ではあるがバイトも毎日入っている。
いつかはここを出て行かなくてはいけない。いつまでも宇髄さんのお世話になるわけには、いかないのだ。
しかし彼との生活は、存外にも楽しく穏やかなものだった。
高校のときには出来なかった恋人同士の触れ合いは、卒業してからは自由に彼に触れられた。
そんな幸せで、優しく居心地がいい彼のそばに、ずっといられたら、と身勝手な願いを考えてしまうのだ。