満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第3章 嫉妬の先に※《煉獄杏寿郎》
「あの、お礼にと言ってはなんですが、
是非わたしのお店に来てくださいませんか?」
女が意を決したように言った。
ブっとお茶を吹き出しそうになる宇髄。
宇髄はおそるおそる波奈の方を見ると、波奈はもうカチコチに固まっていた。
目の前で夫が遊女に誘われてるーーーどういう状況これ?
「うむ!なるほど!それは無理だな!」
「え…」
杏寿郎は波奈の肩を抱き寄せ、
「わたしにはこのように可愛い妻がいる!なのでこの話はお終いだな!」
カーーーッと波奈は顔を赤くして、カチコチに固まったままであった。
「そ!それは奥様、申し訳ございませんでした」
彼女はペコリと頭を下げた。
「でも」
頭を上げた彼女は杏寿郎の方を見つめて
「もし奥様以外の方とに内緒で致したいときは…わたしがお相手致します」
女性はニコっと笑って、人差し指を彼女の唇に当てた。
「ん?」
「では」
彼女はそう言い残して立ち去った。
「…」
「なあ宇髄、彼女はどうして妻がいると言ったのに尚誘ってきたのか。さっぱりわからん」
「お、おう」
杏寿郎の、自分に向けられている好意への鈍さは今に始まったことではないが、、
きっと波奈の嫉妬心を煽るには十分な状況だったのではないか…
宇髄は波奈のことが気になり、またチラッと様子を見るが、波奈はなんとも神妙な顔でお団子をもぐもぐと頬張っていた。