満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第24章 彼の欲しいものは※【宇髄天元】
「なあ、どうしてもだめ?」
「だ、だめです!絶対いやです!こればっかりは絶対いやですから!」
夕飯のお片付けをそそくさとしていると、宇髄さんがひょこひょこついてきておねだりしてくる。
そんな可愛い顔しても無理ですからね!
「え〜〜筆も新しいの買ったのに」
「し、知らないです!!」
宇髄さんが新しく買ったという筆をふりふりと見せつけてくる。
波奈はカッと顔を赤らめながら片付けに手を忙しくさせた。
まだわたしが宇髄先生の生徒だった頃。
わたしが宇髄先生のことが大好きで、
宇髄先生もなぜかわたしのことを好きになってくれて。
なのに生徒だからと言う理由ひとつで、指一本わたしに触れなかった。
そのことに不満を募らせて喧嘩も沢山したけど、宇髄先生が折れることはなかった。
周りの友だちの、彼氏とキスしたやのお泊まりしてエッチなことをしたやの、そう言った類の話には、わたしとて興味津々な10代の若い頃だ。
奇跡的に両想いになれたのに、触れ合いを禁止された故に先生の想いは募るばかりで。
美術準備室という密室のなか、宇髄先生とのあらゆるいけない妄想をしていたのは、若気の至りとして許して欲しい。頭の中は誰にもわからない、自由だ。
先生が忘れて放置していたいつも着ているパーカー。そして、先生のゴツゴツした大きな手で握る、描くための道具であるその筆は、
10代の性欲を簡単に昂らせた。
いけないことだと思いつつも、先生のパーカーを握りしめて先生の香りを感じながら、先生の使用している筆で、自分の…。
先生にまるで抱きしめられているようで、その筆で触られているみたいで、辞められなかった。
そのことを懺悔したのは、ついこのあいだ。
先生の大切にしていたかもしれない道具を、わたしはだめにしてしまったことを気にして、正直に謝った。
そのとき宇髄さんは、
ド派手に興奮するわボケ!
と言われた。
この人変態だな、と思った。…わたしもそうかもしれないけど。