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満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】

第22章 青い春の彼女※【宇髄天元】


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波奈は2年前に卒業した元生徒である。

波奈の懐かしい体操服姿を目の前に、艶やかに当時のことが思い出されるのは不思議な感覚であった。

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3年前。

『おーわ波奈ちゃん体育してる』男子生徒がつぶやく声が聞こえた。

5限目、美術。昼からの授業にやや生徒たちの気怠さが教師である俺には伝わるが、まあそこらへんは適当に楽しくがモットーである俺は、たまに雑談も交えつつ美術の指導や授業を進めていた。

『お前やらしー目でみんなよ』
『いやあれは見ちゃうでショ』

窓際の男子生徒2人が騒ぎ立つ。
3階美術室の窓からは、校庭が見え、丁度波奈のクラスは体育の授業を行なっていたところだった。
耳が良い俺は波奈の名前が耳に聞こえてくらりと目眩を覚える。
その発言は、波奈のことを厭らしい目で見るそれであったからだった。

波奈はその可愛さの容姿や明るく優しい性格も相まって、学年いや学校から少なからず人気者であった。
俺はいつもは生徒の私語には寛容な方で、だいたいは話に入っていったりして軽く注意はするが、今回ばかりは出来なかった。

美術の分厚い資料集を丸め、スパン!スパン!と男子生徒2人の頭を叩いた。

『うるせーよお前ら授業に集中しろ』

シン、と静かになった教室。叩かれた男子生徒2人はビクビクと怯え、すいません…と謝罪する。

公私混同もいいとこだった。
じとっと罪悪感をかかえたまま、生徒にプリントを解かせている間、校庭を見下ろした。

波奈は2月の寒空、必死に校庭を走っている。

…あいつおっそ

は、と笑ってしまった。
ゴールした波奈はたいそう嬉しそうに、友人たちと笑っていた。

そしてふと上を見上げた波奈は、俺と目が合う。
パアアアっと嬉しそうな顔をして、両手を広げてジャンプして手を振っている。

ーーこっちみんな、と思った。
でも可愛い、とも思った。
胸を締め付ける。
胸の内を気づかれぬよう、スンとした顔でヒラヒラ小さく手を振った。

波奈はまた嬉しそうにめいいっぱいジャンプして両手で手を振る。

「(だあああ、ぴょんぴょんすんなよ揺れてんだよお前の胸が!!)」

ギリ、と奥歯を噛んでイライラをどうにか抑えようとした。

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