満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第21章 禁欲の果てに※【宇髄天元】
「ん?誕生日?」
きょと、とした顔で、助手席に座る彼女が言った。
ラーメン帰りの車の中。
この助手席に波奈が座るのも、随分と慣れた。
「そ、もうすぐだろ」
「すっかり忘れてたよ」
「予定ちゃんと開けとけよ」
「い、祝ってくれるの?」
「当たり前だろ」
「うううれしい」
「ーーで、ほしいものは?リクエストある?何食いたい?何欲しい?俺様になんでも言えこのお姫様が!」
「ふふっなにそれ!そうだなあ…」
うーんうーんと頭を悩ます声が聞こえる。
「先生が一緒に居てくれるなら欲しいものないなあ」
と恥ずかし気もなく言う彼女に、俺の方が黙ってしまって赤面してしまう。
「…ーーんじゃ、何食いたい?和?洋?」
「うーーーん、じゃあ、洋で」
「トイレのことじゃないぞ」
「わっわかってるよ!」
もーっと波奈は隣で困ったように笑った。
その笑顔を運転席からチラッと盗み見る。
波奈は助手席の窓から、毎度通ってる道を眺めていた。
夜の風が波奈の髪をサラサラと撫でていている。
白く華奢な首筋に、いつもかぶりつきたい衝動になる。…しないけど。