満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第1章 おかえりなさい※《煉獄杏寿郎》
ぺこりと顔を下げたまま動かない杏寿郎。
杏寿郎さん?と
波奈は白く小さな手でそっと杏寿郎の首に触れた。
ビクっと杏寿郎の身体が動く。
長く、少し癖のある髪から出ている耳が、少し赤くなっている。波奈の手のひらの温度は、杏寿郎の首筋により熱さが伝わり、更には湯浴みのあとだというのに汗で少し湿っていた。
いつもは何が起きても冷静さを欠けず対応する杏寿郎であるが、今日は波奈が手を触れただけで驚いたような反応をする。
それに手で触れた熱さは、顔こそ熱ってはいるものの、これといって熱はなさそうである。熱がないなら、これには波奈は杏寿郎に何が起こっているのかわからなかった。
「!」
いきなり杏寿郎の手が、波奈の手首を掴み、ぐいっと杏寿郎のほうへ引き寄せた。
「きゃ…!」
と驚いて声を小さくあげると
たちまち小さな波奈の体は杏寿郎の胸板へと引き寄せられた。
いきなりのことでびっくりして、
そして久しぶりの杏寿郎の鍛えられた身体と匂いに、頬が熱くなるのを感じた。
「会いたかった!波奈!」
と杏寿郎が叫んだ。
「わたしもです、杏寿郎さん…」
ぎゅ、と強く杏寿郎の背中に手を回す。
胸がドクドクして、杏寿郎に聞こえているだろうとは思うが、杏寿郎も
ドキンドキンと鼓動を打っているのを感じた。