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満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】

第20章 宇髄先生とわたし ー告白と相思ー後編


単身用マンションとは言えリビングは広くて、整理整頓されていた。が、リビングの横に備われているガラス戸の向こうの部屋は、どうやら宇髄先生の仕事部屋みたいで、キャンパスやら絵の具やらが乱雑に置かれてあった。

宇髄先生のプライベート空間。波奈は緊張と困惑でぐるぐる頭がまわっていた。

「ん」

と言って宇髄先生がマグカップをコトンと机に置いた。
暖かそうな湯気が出ている。

「ミルクと砂糖たっぷり入れといた」

「え、…?」

「お前コーヒー苦手だろ」

「し、知ってたんですか?」

「知ってたよ。今までわざと出してたんだよ。
必死に飲んでるのが可愛くて。悪かった」

可愛くて。波奈はカアっと顔を赤らめた。

それから宇髄先生は、波奈の隣に身体一個分を空けてどかっと座った。

「ーーーーで?」

「はい…」

「デートには行ったのかよ。そんなめかし込んで。
金持ちの御坊ちゃまで成績優秀な生徒会長の穂高君と」

「なんで知ってーーー」

「先生の情報を舐めるな」



「…せ、先生には関係ないんじゃないですか。
わたしが誰とどこへ行こうか」

手をぎゅっと膝の上で握って、下を向いてそう言った。

「関係ないわけないだろーが!
お前、俺に好きとかほざいといて他の男とデート?
ふざけんのもいい加減にしろこのばか!」

宇髄先生の怒鳴ったような声で波奈はうるりと涙目になってしまった。泣くな。波奈はギュッと口に力を入れる。

ハアーと宇髄先生は大きくため息をつく。

「まず言うけど、」

と宇髄先生は切り出す。

「俺はお前が好きだ」

「へ?!」

「へ、じゃねーよ。当たり前だろばか!」

宇髄先生がサラリととんでもないことを口にした。
しかも先程からばかばか言われている。

「な、っ…え?、うそ、…だって、」

とんでもないことを聞いて、それを理解するのにとても時間がかかる。波奈は口をぱくぱくさせる。

「す、好きって、宇髄先生が?…わた、わたしを?」

「そんなんお前わかれよ。俺がお前のこと好きってそんな当たり前のこと。何言わせてくれんだよ…」

「わ、わかんないですよ、そんなの…!」

項垂れる宇髄先生。顔を手で隠しているようだ。でも宇髄先生の耳は少し赤くなっている。わたしもつられて赤くなる。



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