満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第20章 宇髄先生とわたし ー告白と相思ー後編
雛鶴さんがキキっと車を停めて、言われるがままついて行ったところは、単身者用のマンションだった。
「雛鶴さん、あの…ここは?」と戸惑いながらも聞くけど、雛鶴さんは何も言わない。
エレベーターに乗り、4階のボタンを押す。
マンションの角部屋に着くと、雛鶴さんはドア横に付いている玄関先チャイムを押そうと手を伸ばしたら、
バン!と勢いよくそのドアが開いた。
その出てきた大きな背の人物に、波奈はビクッと身体が震えた。
「お待たせしました天元様」
「……」
押し黙る宇髄先生は、学校ではあまり見かけない眼鏡姿で、いつものパーカーに下はスエットを着ている。
そしてその顔は凄まじく機嫌が悪く、殺気立っているのはすぐにわかった。真っ黒いオーラを背中に背負っているみたいだった。
波奈は怖くて思わず雛鶴さんの背中に隠れる。
「……お前…ふざけんなよ…」
怖い。なに?怖いよ。
ビクビク震えていると、
「天元様!そんなに大人気なく怒ったらメッ!」
と雛鶴さんがすかさず言った。
「メッて俺は幼稚園児か!」
「もう少し大人になってください!波奈が怯えてるでしょう?!」
「……」
宇髄先生はハーーと長いため息をついて、
「あがれよ」
とわたしに向けて言った。
怖さで一歩も動けないわたしを見て、そっと雛鶴さんがわたしの背中を押す。雛鶴さんを見たら「大丈夫」と言って、玄関に入るよう促された。
「じゃーね」
「えっ雛鶴さんは一緒じゃないんですか?」
泣きそうな目で雛鶴さんを見たけど雛鶴さんはニコッとして
「これは2人の問題だから」と言ってひらひらと手を振られた。
宇髄先生は、波奈が身体全部が玄関に入ったのを確認して、バタンとドアを閉めた。
それからスタスタとその先の廊下を歩く。
「なにぼさっとしてんだよ」
と振り返って言われて、やっぱりすごく怒ってる…!
とびくびくするけど、波奈は慌てて靴を脱いで宇髄先生について行った。
「てきとーに座って」
とリビングに入り先生は言った。
波奈はこくんと頷いて、リビングのソファーにちょこんと座った。