満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第20章 宇髄先生とわたし ー告白と相思ー後編
「ど、どういうことですか、雛鶴さん」
波奈は雛鶴が運転する車の助手席に座って、じっと雛鶴さんを見た。
「どういうことって…天元様に頼まれたの」
「え、え?宇髄先生が?どうしてですか?」
「それは天元様に聞いてちょうだい」と言われてしまった。
そう言われると黙るしかなくなってしまう。
そしたら、雛鶴さんがふふ、と笑い出した。
波奈は雛鶴さんを見る。
「天元様が宇髄先生なんて不思議」と言って笑っていた。
あの天元様が、と笑っている。
「う、宇髄先生は素敵な先生です…!
そりゃ、ちょっと破天荒なことはありますけど…
生徒にもものすごく人気なんですよ。
わたしは絵が下手くそですけど、美術が好きになりましたし、
わたしだけじゃなくてみんな美術が好きだと思います」
「へえ」
と雛鶴さんが波奈を見つめる。
そう、宇髄先生はほんとに良い先生だ。生徒想いだし、美術の授業だって面白いし、美大受験希望の生徒には、真剣に向き合っている。
「…」
そう、良い先生なんです。
わたしはそんな良い先生に、好きだと言って困らせてしまったけど。
また泣き出しそうなわたしに、雛鶴さんはそっと寄り添うように、波奈を見つめた。