満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第20章 宇髄先生とわたし ー告白と相思ー後編
12月。木曜日。期末テストが終わってクラスが一息ついた頃。
つっても俺はそのテストが散々で、じいちゃんに怒られるわ補習は受けさせられるわでげっそりだった。
ま、世話焼きの炭治郎と波奈が俺に必死で補習プリントの問題を教えてくれたから、なんとか終わらせたんだけどね。
良い友人を持ったよほんと。
今年最後の美術の授業を受けていた。
冬休みに入るにつれの美術の課題を書いたプリントを渡される。
世間では明日の終業式が終わると、次の日は冬休みでクリスマスイブだ。ま、俺にはクリスマスなんて恋人のイベントには無関係だけど、竈門ベーカリーのケーキを買って(禰󠄀豆子ちゃんに会える、ぐふふ)じいちゃんと食べる予定はあるけどね。
「うずせんクリスマスの予定はあるのー?」
クラスの可愛い女子が宇髄先生にちょっかいを出すように言う。
あーもうそういうこと聞くなよう、波奈ちゃんが悲しい音してんだろー。
「あ?仕事だ。お前らの成績処理とか色々あんの」
「えーうそだー綺麗な彼女とデートでしょ?」
「だとしてもお前らには言わねー」
はいはいはいイケメンが冷たいこと言ってもイケメンで可愛いクラスの女子はキャアキャア言っている。良い加減にしてほしーよね。って波奈ちゃんそんなさらに悲しい音しないでよー!
「わたしは彼氏とデートだもん♡
波奈もデートでしょ?」
?!!炭治郎と俺と伊之助が凍りついた。
というよりクラスの男子ほとんどが凍りついた。
急に話を振られた波奈はカっと顔を赤らめる。ちょっ…と言わないでよ、なんてその女子に抗議している。
そしたらさ、もうすごい音が聞こえてきた。
え?なに?誰の音?こんな音だせるの誰ってくらい。
深く悲しい音が。
その音を辿ると、やっぱりそうかと思ってしまった。
宇髄先生をじっと見つめて耳を澄ます。宇髄先生の顔はこわばっているような、そんな固まった顔をしている。
でも俺の視線に気付いたのか、すぐに、スン、と言う顔になって、
ピシャンと蓋をするような音がして、それっきりその深く悲しい音は消え去った。
え?そんなことできんの?音柱やっぱすげーな。前世の話だけど。