満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第19章 宇髄先生とわたし –記憶と悲恋ー中編
11月。
宇髄先生とはあれから話していない。
廊下であっても目も合わせてくれない。
授業もいつもちょっかいを出してきたのに、全く出さない。
宇髄先生が波奈を避けていることは波奈にでもすぐに分かった。
これにはほとほと参ってしまった。
告白をして、そっか、と言われるだけで、
その後は気持ちが良いほど避けられる。
これはもうそう言うことだ。恋愛経験皆無のわたしでもわかる。
先生はわたしのことはどうも思っていないということ。
さらに追い討ちをかけるように、
波奈が裏庭で当番のゴミ捨てをしていたとき、
「テンちゃん好きなの!」
という声が聞こえた。ドキっとして慌てて校舎の影に隠れる。
告白現場に遭遇だ。しかも宇髄先生の。
「…そーかよ」
と宇髄先生は気怠げに答えてた。
「テンちゃん、わたし美大に合格したんだよ、もうすぐ卒業だし、先生の恋人にして?」
上級生であろう女生徒が、先生の冷たさには解せず続ける。
食い下がるように、宇髄先生の腕を掴んで。
けど宇髄先生はサラリと言った。
「生徒を好きになることは絶対ないな。わりーね」
そう言い放った。冷たく突き放すような声だった。
ひや…とした空気が伝わる。
女生徒は呆然とそこに立ち尽くす。その瞳は涙で滲んでいた。
宇髄先生はそんな彼女を放置するように、スタスタと消えて行った。