満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第19章 宇髄先生とわたし –記憶と悲恋ー中編
散らばってバラバラになった小さいピースが
先生の浴衣姿を見た瞬間、ガチっと一つになる感覚。
受け取ろうとした紙コップは激しい動揺で手が滑って、床にいきおいよく落としてしまった。
「おわっ!波奈?」
心配そうに見つめる、宇髄先生の赤い目。
その瞬間、ドン!と音が鳴る。
美術準備室の窓から、校庭から放たれた、後夜祭の始まりを告げる花火がキラキラと夜空に咲くのが見える。
この花火の風景を
遠い昔に見たことがある。
大切な人と。
すごく大切な人と。
ずっと誰かを探していたけど。
それが誰か忘れていた。
どうして忘れてしまったんだろう。
あんなに大切だったのに。
銀色の髪の、赤い目の。
波奈はぼろ、と大粒の涙が流れた。
宇髄先生は目を見開き驚いたような顔をする。
「ーーーて、天元様…」
とその名の人を見つめて小さく呟くと、宇髄先生はさらに驚いた顔をした。
それから優しい顔で言った。
「やっと思い出したか」と。