満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第18章 宇髄先生とわたし -出会と恋慕- 前編
自分の気持ちに気づいてしまってから、宇髄先生の美術の雑務を頼まれても、雑務はさっさと終わらすようにして、
宇髄先生との雑談をしなくなった。コーヒーも断った。
完全に避けているのである。
避けているとしても、先生にとっては一生徒の気まぐれな振る舞いとして扱ってくれるだろう、と波奈は考えていた。
人のことに関しては、良い意味でほっとくような人だ。
「なあ、お前俺のこと何で避けてんの」
「…え、」
なのでこういう風に問い詰められたのは、少々意外ではあった。
「さ、避けてないです」
嘘だから声がうわずる。
「いや避けてんじゃん」
バレバレである。
「…」
黙る波奈に、宇髄先生はじっと見つめ、それからハア、とため息をついた。
「ーーーま、いいや」
と言われた。ま、いいや。
どうでもいい、か。
波奈は泣きたくなり、じわっと目頭が熱くなるのを感じる。
涙目を悟られたくなくて、咄嗟に下を向く。
どうでも良いと思ってくれてもいいと思ってたのに、いざ突き放されたように言われると、傷がつく。ヒリヒリと。
避けたのはまぎれもなくわたしのほうなのに。
面倒くさい生徒だ、わたしは。
「…お前が俺を避けても、お前は美術担当だから」
逃げられないねーかわいそ!とハハっと笑う。
さらに意外な返しに、波奈は下を向きながら、ぷしゅっと顔が赤らんだ。逃げられない。
ずるいよ宇髄先生。