満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第18章 宇髄先生とわたし -出会と恋慕- 前編
美術準備室を後にする。
最後は少し素っ気ない態度をとってしまったかも、少し罪悪感がひっかかるが、もうどうでもいいや。
波奈はざわざわとする気持ちを隠すように、小走りで廊下を進む。教室に着き、自分の席にすとんと座る。
気が落ちる。悲しい。どうして。
宇髄先生が、他の生徒と楽しそうに話しているのが。
波奈は自分の気持ちに激しく動揺してしまった。
宇髄先生は先生だ。そしてわたしは生徒だ。
それは紛れもない事実だ。それ以上でもそれ以下でもない。
気がずんと暗いところへ落ちる。
あぁ、やばいな。
きっとわたしは、宇髄先生に急速に惹かれている。
生まれて初めてのこの気持ち。でも。
初めての恋慕は、0コンマ1秒で終了である。
本格的に梅雨入りした6月の曇り空は、今にも雨がしたたりおちそうだった。