満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第18章 宇髄先生とわたし -出会と恋慕- 前編
「ん。入学おめでとーさん」
赤いリボンで作られた花飾りを手に取り、彼は波奈の制服の左ポケットに付けようと手を伸ばした。
「ふえっ…!」
「ん?」
190センチはあるだろうか、すっと屈んで、波奈に手を伸ばしたその手に、なぜかビクッと身体が震えて、素っ頓狂な声を出してしまった。ピタリと止まった彼の手は、行き場を失う。
「あ、いえ、ごめんなさい!ありがとうございます」
ぶあっと顔を赤らめてしまった。
何事かというふうに、彼は波奈を見つめた。
「…いや、不躾だったな、わりーね。付けてもいいか?」
「よ、よろしくお願いします…」
彼は、花の安全ピンを外して波奈の胸ポケットに器用に素早く付けた。新入生らしさがそれをつけるだけでぐっと出るから不思議である。
「うし、新入生代表!派手でいいなあ!行くか!」
「あ、はい!…えと…」
「…あぁ、うずい、宇髄天元」
「宇髄先生…ありがとうございます」
宇髄先生は、赤い目を細めて笑った。