満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第2章 傷を癒す※《煉獄杏寿郎》
『…父上はどうか知らないがな』
昨夜の杏寿郎の声が急にフラッシュバックして、カーーーっと顔を赤くしてしまった。
昨夜は壁沿いで、杏寿郎から激しく求められ、その喘ぎ声がもしかしたら槇寿郎に聞かれたかもしれないーーーいや、先程の助け舟の発言や、波奈から目を逸らして頬を染める槇寿郎の様子から
絶対聞かれたーー!
と波奈はさらに顔を赤くしてしまった。
「波奈!おはよう!起きたか!」
わ!っといきなり大きな声がして顔を上げると、槇寿郎と同じ道着に袴姿の杏寿郎が立っていた。
やはり稽古をやり込んでいたのか、汗ばんだ首から手ぬぐいをかけている。
波奈はその姿にズキュンと胸が打たれた。
「杏寿郎さん!おはようございます。今朝は起きれなくて申し訳ございませんでした」
「気にするな!あまりに気持ちよく寝てたから起こせなかった!」
ハハハ!と笑い飛ばす杏寿郎に 波奈は、うぅ…と照れながら、杏寿郎のお茶碗にもこんもりとご飯を盛った。
一家全員が揃う朝ごはんはやはり嬉しい。
うまい!と言いながらたくさん食べる杏寿郎、にこにこ笑う千寿朗、静かに食べろと呆れる槇寿郎。穏やかで幸せな時間だった。