満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第2章 傷を癒す※《煉獄杏寿郎》
「波奈さん、おはよう」
お箸や茶碗を机に配っていると、ひょこっと父の槇寿郎があらわれた。
やはり朝から杏寿郎と稽古をしていたのか、道着姿で手ぬぐいを肩にかけていた。
「お父様、おはようございます!
朝は起きるのが遅くなってしまって
申し訳ありません。
朝ご飯ありがとうございます!」
波奈がそう声をかけると
「ん、いや、かまわないよ。気にせんでくれ」
と少し目線を逸らしてそう応えた。
一見無愛想に見えるが、男3人所帯のところへ嫁いできた波奈のことを槇寿郎なりに気遣ってくれるとても優しい方であると、波奈は知っている。
槇寿郎は目を逸らしてすこし頬を赤くした。
ん?
「でも珍しいですね!波奈さんが寝坊なんて!初めてじゃないですか?」
千寿朗がお味噌汁を装いながらにこにこと言った。
「昨日はよく眠れなかったのですか?」
「ーーーえっ、あ、そ、そうなの!
読みたい本があったから寝るのが遅くなってーーー!」
曇りなき眼で千寿朗がにこにこして聞くものだから、ーーー昨日の夜のことーーー
は、決して気づかれないように必死にせいをただした。
「そうなのですね!どのような本でしょうか?」
「えーっと、」
「んんっ。波奈さん、早くご飯を装っておくれ」
「あ!はい!お父様」
助け舟〜!と思いながら、咳払いをする槇寿郎から茶碗をうけとり、ご飯を装った。